1.キャブレーター本体の取り外し

このFCRもこの車体に取り付けてからはノンオーバーホール。同調も外れ気味で、アイドリングも不安定になってきていました。外観的な汚れもカナリ汚いので、この機会にオーバーホールしてみようと思います。しかし、FCRのオーバーホールは自分でしたとしてもオーバーホール時交換推奨部品を交換すると費用がかさんでしまいます。メーカーからの定期交換部品は「浮動バルブ(ゴムシール含む)」「スロットルバルブCOMP(ベアリング含む)」の二種類。付随パーツを全て交換するとするならば、本体価格の1/2弱はかかってしまいます。別にサーキットを走るわけじゃないので、交換部品はパッキン類だけにして、コストを削る方向でのオーバーホールをすることにします。

 車体から取り外す時の手順

cab oh @タンクのコックをOFFにします。ガソリンホースを外します。
Aタンクとエアフィルターを取り外します。










cab oh Bスロットルワイヤー連結部のナットを緩めておきます。 上のナットだけ緩め、組み付けの時のために下のナットはそのままにしておきます。









cab oh Cインシュレーターのボルト4を緩めます。
キャブレーターを本体から引き抜きます。










cab oh Dキャブ本体を少し持ち上げてスロットルワイヤーをたわませてから、ワイヤーを外します。
FCRのスロットルワイヤーは引きと戻りの2本です。2本スロットルワイヤーの連結部分はどの穴に連結されたか覚えておく必要があります。 私の連結ポジションは左の画像の2点でした。






cab oh Eキャブを取り外した後はインシュレーター部分をガムテープなどで覆っておきましょう。
埃ならまだしも、ボルトなんか落とした日には最悪ですね。。。
ついでにエンジンのオーバーホールしちゃいましょっか!?ってコトにもなりかねません。









2.キャブの分解

取り外したキャブレーターです。
ここでの注意事項ですが、4気筒分のパーツは分解時にそれぞれどのキャブのパーツか分かるように袋に小分けしておきます。

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 トップ部の分解

まずトップキャップのM4×10mm 2本を外し、トップキャップを外します。

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@リンクアーム
リンクアームについているプラスのネジは緩めることは出来ても、取り外すことは出来ません。無理に取り外そうとすると破損してしまいます。まずはリンクアームのプラスを緩めましょう。

A同調スクリュー
同調をとるときの調整用のスクリューです。同調ナットを緩めて同調スクリューを外します。

Bニードルセットスクリュー
ジェットニードルを固定しているスクリューです。ここは意外に固く締まっているので、ナメないように注意して取り外します。スクリューを取り外したらジェットニードルも取り外しておきます。

Cスロットルバルブ

@〜Bを取り外したらスロットルバルブを引き抜きます。



 フロートチャンバーの分解

まずフロートチャンバーのM4×10mm スクリュー3本を外し、フロートチャンバーを取り外します。

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@フロート

フロートピンを固定しているプラスのスクリューを緩め、ピンを抜いてフロートを取り外します。
この時、フロートにフロートバルブがくっついているので、無くさないように保管します。

Aメインジェット

メインジェットを6mmのスパナ、とメインノズルを8mmのスパナで取り外します。

BPSアジャストスクリュー

PSアジャストスクリューを取り外します。この時、一度締めこんで何回転締めこんだかメモしておきましょう。特にショップで組み立ててもらった場合、各気筒微妙に異なっている場合がありますので正確に測りましょう。

Cスロージェット

スロージェットを取り外します。穴の奥に固定されているので、この穴に入るマイナスドライバーが必要です。



 エアージェット部の分解

まず、ファンネル部を取り外しますが、六角レンチがまっすぐ入らないため、ボールポイントが必要です。
下はファンネルを取り外したところです。

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@スローエアジェット

これは可変式のスローエアジェットです。一度締めこんでみて回転数を記録しましょう。

Aメインエアジェット

コチラはそのまま外すだけですね。各セッティングは後ほど詳細をアップします。



 ボディの分解

cab oh

写真の3つのボルトと反対側の3つのボルトで4つのキャブが連結されています。
この合計6つのボルトを取り外し、連結を解除します。この時、スロットルシャフト・加速ポンプ周辺のパーツが飛んでいかないように注意しましょう。

cab oh

左から二番目のキャブレーターにスロットルシャフト、加速ポンプユニットが付いています。
この部分は結構複雑なので、分解前の状態を覚えておいてから分解しましょう。





3.各部品の洗浄

フロートバルブ、フロート、パッキン以外の部品を鍋に入れてサンエスを目分量で入れて弱火で10分ほど煮込みます。

cab oh

この時、各気筒を混同しないために、1気筒分ずつ分けて煮込みます。
ここで問題になるのがスロットルシャフトベアリングです。
ここに使用されているNOKバリエルタという潤滑油は大変高価で、潤滑油の域を超えています。
もし、費用を抑えるのであればスロットルシャフトとベアリングを洗浄しないという手もあります。
私はそんなことは嫌なので、代替潤滑油を使用します。
これは「キャブレーターOH No.2」で紹介します
10分ほど煮込んだら十分に水道水で洗剤を洗い流します。


これがサンエスA-1噴射洗浄剤です。

サンエス


私は↓ココ↓で購入しました。

サンエス


洗浄が終わったパーツ。間違えないように各気筒をまとめておいています。

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エアコンプレッサーのブロアなどを用いて、念入りに水気を飛ばしていきます。
特にキャブレーター本体の空気、ガソリンの通路や、各ジェット類は目詰まりが無いことを確認します。
水気を完全に飛ばしたら、間違えないように袋に戻します。

cab oh




4.交換部品

分解洗浄まで終わったので、次に交換部品を紹介します。

番号 部品番号 部品名 単価 数量 合計 発注先
@ 1031-805-2000 FCR(6)トップワッシャー小型用 \231 4 \924 BITO R&D
A 1421-801-2000 FCR(25)ニードルセットスクリュー \525 4 \2100 BITO R&D
B 1202-846-6000 FCR(45)パッキン \945 4 \3780 BITO R&D
C 92055-520 リング \189 4 \756 Parts on Line
D 16055-1278 ホルダ(キャブレタ) \1355 4 \5420 Parts on Line
E 92068-006 プラグ,12×25 \158 4 \632 Parts on Line


keihin純正

@トップキャップの紙パッキン。
Aニードルセットスクリュー。私のFCRでは前の写真の通り、マイナスですが、現行で六角になっています。
このスクリューは走行の振動でさらに硬くしまるようになっているらしく、マイナスでは緩めるのに苦労します。
そのため現行タイプに交換することにより、ジェットニードルの段数を変更する時などに作業が楽になります。
Bフロートチャンバーのパッキン。パッキンにしてはかなり高価ですね。。。

純正部品

Cインシュレーターとエンジンの間に入れるパッキン。
EZZ-R400用インシュレーターを使用して同調をとった後に、その穴を埋めるメクラ

純正部品

Dカワサキ純正部品でZZ-R400用のインシュレーター。これをつけることによってバキュームゲージに接続することができ、正確な同調をとることができるようになります。





5.キャブレーターの組み立ての前に

基本的に分解した逆の手順で組み立てるが、一つだけ注意したいのがスロットルシャフトベアリングの注油です。
FCRの取り扱いマニュアルにもここへの注油は定期的にすることが推奨されている。しかし、先にも記述したとおり純正指定でのここのNOKバリエルタという潤滑油は大変高価(いくらするか知りませんが・・・)。そんなものは使ってられません。ということで代替オイルを探してみました。

フロントブレーキ

ワコーズのフッ素スプレーオイルです。これはスプレー式潤滑油の割に3675円と高価ではありますが、対ガソリン性の潤滑油で、FCRのスロットルベアリングにはもってこいのオイルだと思います。



Keihin FCR33 OH No.2
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